年末なので株の黒字を減らすために、赤字の株をいったん損失を確定してから買い戻し。
これって意味あるのでしょうか?
というのも、
この場合
下がったところで買いもどした株が
上がった時にその利益に課税がされることを考えると
結果的に意味のない行為に見えない?
と思うからです。
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損出し(タックス・ロス・セリング)の基礎
年末になると、投資家は翌年の税金を最適化するために行動を起こします。
株式投資では、「利益に応じた税金を払う義務」があるため、税負担を軽くする工夫をすることがあります。
この行動を簡単に説明すると
赤字を確定
↓
株の中で含み損(まだ売却していないが値下がりして損を抱えている)のある銘柄を売却し、損失を確定させます。
目的は、この損失を黒字(利益)と相殺して、課税対象の利益を減らすこと。
↓
再購入(買い戻し)
売却後、同じ株を買い戻しました。
理由としては、その株が将来的に上がると思っているから、保有を続けたい。
実質的に空売りのような結果に売却と再購入で発生した手数料分の損失が出た形になります。
売却時の損失によって税金が減額され、税金還付を受けられることになりました。
手数料で損はしたけれど、還付された税金も合わせて計算すると、トータルで少しだけプラス(微妙な黒字)になりました。
損失を確定することで、課税される利益を減らす「節税」が目的。
同じ株を買い戻しているので、株式のポジションを維持しつつ節税効果を得た。
これは、投資家がよく使う「年末の節税テクニック」の一例です。
損出し(タックス・ロス・セリング)って意味あるの?
この場合、下がったところで買いもどした株が上がった時にその利益に課税がされることを考えると、結果的に意味のない行為に見えない?
確かにその見方も一理あります。
以下でこの行為の意図や結果を整理しつつ、「意味があるかどうか」について詳しく説明します。
1. 損出しのメリット
損出しの大きな目的は「節税」ですが、以下のポイントを考えると一定の意義が見えてきます:
- 課税のタイミングを遅らせる
売却時の損失を利用してその年の税負担を軽減します。これにより、節税効果で得た現金を他の投資や生活資金に回せる可能性があります。
- 例:還付金や節税による余剰資金を再投資すれば、複利の力を得られるかもしれません。
- 将来的な利益の課税額を管理できる
同じ株を買い戻しても、利益が確定するのは再度売却した時点なので、その時点の状況(税制や投資計画)に合わせて対策を考えられます。
2. 損出しのデメリット
損出しが「意味がない」と感じるポイントもあります:
- 将来の利益に課税される
確かに、買い戻した株が上がったときには、その利益に対して課税されます。
- 結果として「節税したつもりが、単に課税を先延ばししただけ」になる可能性があります。
- 手数料やスプレッドの損失
売却と買い戻しで発生するコスト(売買手数料や株価のスプレッド)があるため、実質的に手元資金が減ります。
3. 意味があるかを判断する視点
損出しの価値を判断するためには、以下の点を考慮する必要があります:
- 現在の税率 vs 将来の税率
- 将来の税率が現在より低い可能性がある場合(例:収入が減る、税制改正で優遇されるなど)、損出しにはメリットがあります。
- 逆に将来の税率が上がると、利益に対する課税負担が増えます。
- キャッシュフロー
- 還付された税金を有効に活用(再投資や借金返済など)できる場合はメリットがあります。
- 株の動き
- 買い戻した株が大きく上がると、結局多くの税金を払うことになり、「手数料負け」の分も考えると、結果的に損になる場合があります。
4. まとめ
損出しが「意味がない」と感じるのは、以下のような場合です:
- 将来的にその株が上がり、大きな税負担が発生する。
- 売却と買い戻しで発生するコスト(手数料)が多すぎる。
一方で、「意味がある」場合は以下のような状況です:
- 現在の節税効果を利用して、得た現金をより効率的に運用できる。
- 将来の税率や個人の資金計画を考慮し、節税が全体的にメリットをもたらす。
最終的な考え方
損出しは「課税のタイミングをコントロールする」テクニックです。
その意味で、結果的に損か得かは将来の株価の動きや税制、資金の活用次第で変わります。短期的な節税以上の目的を見据えて活用することが重要です。